筑波大学 University of Tsukuba 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)沓村・斉藤研究室 International Institute for Integrative Sleep Medicine (WPI-IIIS), Kutsumura・Saito Lab. 数理物質系化学域沓村研究室 Department of Chemistry, Faculty of Pure and Applied Sciences, Kutsumura Lab.

  • 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構
  • 独立行政法人 日本学術振興会
  • ムーンショット型研究開発事業

研究内容

研究内容  Research Details

The Kutsumura Group Research Topics

タンパク質リン酸化酵素に特異的に作用する化合物の創製Synthesis of compounds that specifically act on protein kinase

私たちの体の中では、生命活動を維持するために様々な反応が起こっています。タンパク質のリン酸化もその一つです。特定のタンパク質をリン酸化する酵素キナーゼは、ヒトにおいて約500種類ほど知られています。私たちはその中でも、睡眠概日リズムエネルギー代謝等に大きく関与するキナーゼを自在に制御することができる低分子化合物の創製を目指しています。このような分子は、創薬研究の観点からも非常に重要です。たとえば睡眠を例に挙げると、このキナーゼを特異的に活性化する分子は不眠症治療薬として、また、特異的に不活性化する分子は特発性過眠症治療薬として期待されています。

オレキシン受容体に作用する天然物を基盤とした構造活性相関研究SAR studies based on natural products acting on orexin receptors

脳内にはオレキシンという神経ペプチドと、それが作用するオレキシン1・2受容体が存在します。オレキシン1受容体は情動依存に関与すると考えられています。一方、オレキシン2受容体は睡眠・覚醒の制御に関与します。前身の研究室(長瀬研究室)では、オレキシン1受容体特異的拮抗薬YNT-1310やオレキシン2受容体選択的作動薬YNT-185を創製することに成功しました(共に、富士フイルム和光純薬株式会社より販売中(2022年8月8日現在))。このような研究背景の下、最近私たちは、天然由来の化合物の化学構造をヒントにして新しいオレキシンリガンドの創製研究を開始しました。オレキシン受容体という鍵穴にフィットする新しい鍵分子の探索は、将来、不眠症治療薬、ナルコレプシー治療薬、依存症治療薬等、様々な新規医薬品としての可能性に繋がります。

悪臭の無い硫化剤の開発Development of sulfurizing reagents without bad odor

カルボニル基(C=O)をチオカルボニル基(C=S)へ変換する反応は、創薬研究だけではなく、化学工業全般において利用されています。しかし、このような反応に使われる「硫化剤」は、一般的に悪臭が酷く、取り扱いには注意を払う必要があります。私たちは、以前開発した新規アダマンタン型化合物(Tetrahedron 2017, 73, 5214.)が、悪臭を出さない硫化剤として有効活用できるのではないかと考えています。グリーンケミストリーの観点からも、環境に優しく有用な化学試薬の開発には大きな意義があります。

その他にも以下のような研究が進行/準備中。有機合成化学を基盤とした創薬関連研究、あるいは、創薬研究に有用な反応について研究していきたいと考えています。

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